2023’1月 

 令和四年「道」俳句作家賞に渡辺健一氏

 おめでとうございます。詳しくは本誌一月号にて 以下に対象作品

                                                  渡辺健一

九条は日本の背骨大夏木
老鶯や鏡のやうな水源地
町起し担ふ立坑天高し
籠城のごとき自粛やとろろ飯
戦火にも遭わずに生きて敬老日
秋団扇長広舌を凌ぎをり
疫の世の雲を破れよ今日の月
山粧ふ悲別駅包み込み
あな嬉し師の遺句集と冬籠
反戦の寂聴逝くや神無月
無休なる妻へ勤労感謝の日
七人の敵は生き甲斐賀状書く
是よりは礼奉公よ老いの春
ポリープは消えよと飲むや寒の水
熱燗や聞き手に回る処世あり
立春大吉「長老の木」は仁王立ち
湯の宿はかつての校舎木の根明く
鉄橋」は炭鉱遺産山笑ふ
武具飾る戦禍の子らを憂いつつ
雪を割る病める地球へ日の光
殿は無職の我ぞ更衣
再診を促す手紙花は葉に
紫陽花や手の平ほどの母校の碑
艦艇の塞ぐ港や麦の秋

 2023’1月 

令和四年「道」北光星賞に齋藤靜弘氏

 おめでとうございます。詳しくは本誌一月号にて 以下に作品

                 真珠婚                                 齋藤靜弘

薄氷にひとつの村が明け昏れる
峻嶮を掴み隼眠りおり
居眠りのははの背の闇去年の闇
忘れ雪乗せて夜汽車は海の底
捨てて来し村真二つに雁渡る
愛らしきほどの重さの桃を手に
野遊の足裏こそばし真珠婚
湖の蒼空余す小白鳥 

 2023’1月 

 令和四年「道」北光星賞に西增正夫氏

 おめでとうございます。詳しくは本誌一月号にて 以下に作品

                 蝸牛                                西增正夫

炎天の鯉かつかつと石を噛み
字の付く我が古里や雪の底
逃水やいくど本籍移せしか
家長とは重たきものと蝸牛
父に似ぬ酒豪といわれ冷奴
肩の手の温み今でも冬銀河
菊日和古里捨てしその朝も
身に余る荷を負う蟻に母を見て 

 2022’11月 

俳誌「新月」8月号にて主宰の俳句を紹介いただきました。

遠き日の成人の日とベ平連  田湯 岬


 本文については 本誌11月の「俳壇風信」にて。 

 2022’11月 

俳誌「樺の芽」8月号にて鑑賞いただきました。

雪を掻く音にまた街動き出す 中森千尋

 本文については 本誌11月の「俳壇風信」にて。 

 2022’11月 

北海道新聞令和4年8・9月の「新 北のうた暦」から。

 8月1日  安田豆作さんの鑑賞・紹介。 

トーチカの崩れしままや晩夏光  三島裕子

 8月7日  髙橋千草さんの鑑賞・紹介。 

大き背捜していたり星祭 大野甲音

 8月11日 石川青狼さんの鑑賞・紹介。 

漆黒の揚羽ぎっしり石の刻 西澤寿林子

8月29日  安田豆作さんの鑑賞・紹介。
孫が駆る二百馬力や薯を掘る 西本牧童

9月2日 久保田哲子さんの鑑賞・紹介。
ふるさとへ届かぬ鉄路赤蜻蛉  小林道彦

本文については 本誌11月12月の「俳壇風信」にて。 

 2022’10月 

俳誌「くじら」7月号にて主宰の俳句を紹介いただきました。

鎮座して家長の自覚鏡餅   田湯 岬

 本文については 本誌10月の「俳壇風信」にて。 

 2022’10月 

北海道新聞令和4年7月7日「新 北のうた暦」   石川青狼さんの解説、鑑賞。

樹雨降る古道を過ぎる夏の蝶    池野やまべ

ここでは俳句のみで、本文は十月号の「俳壇風信」にて。

 2022’10月 

各俳誌にて吉尾広子句集「花筏」を紹介いただきました。

  俳誌「雪嶺」7.8.9月号にて

大事なきこの村に住み涅槃西風   吉尾広子 

継続か離農かいまだ冬田道
身上を言わぬ農夫の光る汗
漣が早苗追い越し追い越され
先急ぐこともあるまい蝸牛
真実の汗たっぷりと農夫たり
この村が対の住処や毛たんぽぽ
村を去る人振り返る稲の花
手抜きせぬ父の生き様墓洗う
風の意に水の意に添う落葉かな
一行は田を売りしこと日記果つ
売りし田の雪の深さを測る夫
何時からか二人で一個冬林檎
足らぬゆえ足らぬままにて七日粥
日に一度ほめあい春を待つ夫婦
秋の空うそにも上手下手があり
氷壁の奥に光の回路かな
過ぎし日の縁は追わず水澄まし
秋風鈴あの日のままの母の部屋
鳥渡る遅れし一羽まだ視野に

  俳誌「松の花」7月号にて

撫子や村の宝の子が生まれ   吉尾広子
入学児おらぬ近隣六十戸
一行は田を売りしこと日記果つ
売りし田の雪の深さを測る夫

俳誌「雲取」7・8月号にて
 
真実の汗たっぷりと農夫たり     吉尾広子
おだまきや農夫うつむく日の多し
 一行は田を売りしこと日記果つ 
日に一度ほめあい春を待つ夫婦
夫もまた蠅打ち損ね真顔かな
足らぬゆえ足らぬままにて七日粥 

氷壁の奥に光の回路かな 
花筏いくさなき世を令和へと

ここでは俳句のみで、本文は十月号の「俳壇風信」で。

 2022’10月 

北海道新聞令和4年7月22日「新 北のうた暦」  久保田哲子さんの解説、鑑賞。

  石狩や灼けるに任せ無辜の民    松谷誠人

 「無辜の民」は石狩市にある彫刻家・本郷新の代表作ですが本文ついては 本誌11月の俳壇風信にて。 

 2022’9月 

 俳誌「初蝶」7月号にて主宰の俳句を紹介いただきました。

ボディビルめく裸木の岳樺    田湯 岬

 本文については 本誌9月の俳壇風信にて。

 2022’9月 

 俳誌「爽樹」7月号にて、主宰他の俳句を鑑賞・紹介いただきました。

  俳誌「爽樹」にて以下の2句を鑑賞、紹介いただきました。

木枯め離農の空地なほも攻む  田湯岬
大根引く引く一瞬の恋心  佐藤析の音

 
本文は「道」誌9月号をどうぞ。

 2022’5月 

 令和4年5月8日 源鬼彦先生三回忌追悼記念俳句大会を実施いたしました。

  コロナウイルスの新株の感染者数の増も考えらえる3年ぶりの行動制限の無いゴールデンウイークの最終日でした。
本来でしたら ご来賓や鬼彦先生にかかわりのあった多くの方にもお声をかけなければならないところでしたが、体調のよろしい会員のみ出席の追悼式+大会で 行いました。
内容につきましては 本誌8月号をお待ちください。 

 2022’5月 

 北海道新聞令和4年5月13日「新 北のうた暦」  久保田哲子さんの解説、鑑賞。

  梅林のゆるき起伏や遠汽笛     松本美知子

本文については 本誌7月号をお待ちください。 

 2022’3月 

 北海道新聞令和4年5月12日「新 北のうた暦」  石川青狼さんの解説、鑑賞。

   咲き満つる千島桜や領土見ゆ     寺田保子

本文については 本誌7月号をお待ちください。 

 2022’3月 

 各俳誌にて主宰の俳句を紹介いただきました。

  俳誌「くじら」十月号にて
遠嶺まだ白きままなる苗木市 田湯岬

 俳誌「岳」十一月号にて 

田水張る星々を地に招かんと 田湯岬

  俳誌「秋麗」十一月号にて 

赴任の子穀雨の空へ離陸せむ 田湯岬

本文は「道」誌2月号でどうぞ。 

 2022’1月 

 令和3年度北海道俳句協会の鮫島賞に吉尾広子氏。俳句競詠賞に岩城睦子氏 

 おめでとうございます。詳しくは 北海道俳句協会の会報92号をご覧ください。 

 2021’11月 

 令和三年「道」俳句作家賞に吉尾広子氏

 おめでとうございます。詳しくは本誌一月号にて 以下に対象作品

「花筏」より

                                                  吉尾広子

ふつつかな女房にして初鏡
蝸牛寄り道そして回り道
蜻蛉らと午後はひとりの野良仕事
農夫婦一畳ずつの三尺寝
雪を掻き掻いて一日のつつがなし
漣が早苗追い越し追い越され
句碑の肩神事見守る夏の蝶
納得の鱈の目に合い追加買い
この村が終の住処や毛たんぽぽ
振り返り誰かが足らぬ蛍狩
飛車角歩空で競える冬の星
生ビール私ちょっぴり泣き上戸
風の意に水の意に添う落葉かな
居座りの蛇にも告ぐや田を売ると
花さびた今更夫に恋ごころ
売りし田の雪の深さを測る夫
猫好きは孤独なのかも冷奴
夏草や鬼も鎮座の句碑の森
新走り供え光星北斗龍
日に一度ほめあい春を待つ夫婦
ひまわりの百万本の首すわる
生きざまは極々ふつう晦日蕎麦
氷壁の奥に光の回路かな

 2021’11月 

  第十八回 北光星賞に髙松暮秋氏

  おめでとうございます。詳しくは本誌一月号にて 以下に俳句

昭和男

                                                  髙松暮秋

 特攻の碑のある村や赤蜻蛉
 捨て案山子離農の家族見送れり
目刺し焼く昭和男のコップ酒
鮟鱇のよだれ一緒に吊るさるる
湿原の燠火となりて鶴凍てる
開拓の鍬の錆びたる冬の納屋
海暮れて海に消えゆく牡丹雪
陽炎や減りゆくままの雑貨店

 2021’11月 

 第十八回 北光星賞に庭田一美 氏

  おめでとうございます。詳しくは本誌一月号にて 以下に俳句

花時計

                                                  庭田一美

 小鳥来る友の忌日の後先に
 妻の座にどつかと座り大南瓜
 小春日やわするることも生きる知恵
 小夜時雨開かぬままのオルゴール
 子の忌来るバレンタインのハートチョコ
 よく似合ふ歪な壺に猫柳
 みどり児の五感全開新樹光
 炎天に平常心の花時計

 2021’11月 

俳誌「好日」9月号、「紺」9月号にて、「鬼彦俳句の鑑賞」を紹介いただきました。

 各誌にて「鬼彦俳句の鑑賞」をにて鑑賞、紹介いただきました。

「好日」9月号では以下の4句を紹介いただきました。

 夏怒涛赤銅色の岬が割る 源鬼彦
 落花いま神の翼をほしいまま
 渓流のたてがみめきて明日五月
 北天は久遠の青さ鳥渡る

「紺」では以下の2句と鑑賞を紹介いただきました。
以下俳句。
 辛夷散る影といふもの空におき 源鬼彦
 春北風の先兵は槍利尻富士

本文は「道」1月号をどうぞ。

 2021’11月 

  俳誌「歯車」9月号、「風の道」9月号にて、「鬼彦俳句の鑑賞」を紹介いただきました。

 各誌にて「鬼彦俳句の鑑賞」をにて鑑賞、紹介いただきました。

「歯車」9月号では以下の29句を紹介いただきました。

 初風や石鋭角な城の跡  源鬼彦
 惜春やまなこつむれるデスマスク
 豆飯に訛濃くする母なりし
 枝炭の喉の骨ほど燃え残る
 多喜二忌の埠頭に刺さる波の先
 冬波の刃先がせめぐ宗谷の灯
 地こすりの音がかぶさる音の景
 ふくろうの目玉といふに丸ふたつ
 生傷をふやしつづけて鮭の恋
 さざなみのつぶやきほどに寒蜆
 落花いま神のつばさをほしいまま
 ペン胼胝の武骨なさまに去年今年
 視野越ゆる雨竜郡の青田かな
 「道」と生く北天に鷹遊ばせて
 
 白地図の村の一点初鴉
 薔薇の芽は血の色ならむ入植地
 石狩の野は我が枕寝正月
 卯波来る出自の島を置き去りに
 空蟬の背はみな割れて一揆の碑
 とんぼ涌くこの廃坑の霊のごと
 仏灯の炎はぽぽぽぽと残暑なほ
 平原に突つ立つ冬木我かとも
 道産子といへども今日は祭馬
 輪廻とや蛇は衣のみ置き去りに
 反骨をその眼光に羽抜鶏
 赤子泣くコタンの一戸薄暑光
 白百合に戦火のにほひ乙女の碑
 散骨はこの海峡と冬の凪
 蒲公英の野の涯までも選挙カー

「風の道」では以下の8句を紹介いただきました。
 雪焼の男いきなり歯で笑ふ 源鬼彦
 朽野や列車の汽笛弓形に
 国境へみな総立ちの吾亦紅
 流氷の音のこみあふ浜四五戸
 天界のしぶきの中を犬橇の鈴
 凍鶴や空の青さは息とめて
 猿払や破船に雪の平手打ち
 朔北の天が眩しむ親仔馬

本文は「道」12月号をどうぞ。 

 2021’10月 

 俳誌「新月」9月号にて、主宰の俳句を鑑賞・紹介いただきました。

  俳誌「新月」にて以下の2句を鑑賞、紹介いただきました。

木の根開くここは頭皮の拡大図  田湯岬
遠景にビル群と雲ポプラの芽 田湯岬

 
本文は「道」誌12月号をどうぞ。

 2021’10月 

  俳誌「阿夫利嶺」9月号にて、「道」6月号の俳句を鑑賞・紹介いただきました。

  鑑賞いただきました俳句は以下。

 桜餅もがもな兄の丸眼鏡 菊池 瞳乃


 本文は「道」誌12月号をどうぞ。 

 2021’9月 

  俳誌「葦牙」7月号にて、主宰の俳句を鑑賞・紹介いただきました。

  北海道内の俳誌「葦牙」にて鑑賞、紹介いただきました。

村眠る冬の星座に見守られ 田湯岬

北海道俳句年鑑「2021年版」


 本文は「道」誌11月号をどうぞ。

 2021’9月 

 俳誌「風港」8月号にて、「鬼彦俳句の鑑賞」を紹介いただきました。

  俳誌「風港」にて鑑賞、紹介いただきました。本文は「道」誌11月号をどうぞ。以下俳句。

冬波の刃先がせめぐ宗谷の灯 源鬼彦
国境へみな総立ちの吾亦紅
カムイ坐す崖の真下の鰊群来
知床やうおんうおんと雪降り来
花の寺戊辰の役の刀疵
白百合に戦火のにほひ乙女の碑

 2021’9月 

 俳誌「雪嶺」7・8・9月号にて、小橋厚子 句集「鳶のコンパス」を紹介・鑑賞いただきました。

  北海道内の俳誌「雪嶺」にて鑑賞、紹介いただきました。本文は「道」誌11月号をどうぞ。以下俳句。

鳶の輪の鳶のコンパス稲穂波 小橋厚子
青田行く風の道なす送電線
高速路青田の果てに吸い込まれ
鯖雲の網を打ちたる黄金波
夜田刈の光の交差都会めく
除雪機の邑のそこここ狼煙めく
鳶の笛豪雪の田の天心に
空知野やどの道行けど大青田
卒業の呼び名に教師魄こめて
教室に春の日充ちてチョーク置く
教え子が教頭となる春一番
淡雪を睫毛に乗せて転校生
産み月の子の居るそぞろ吹雪く夜
百姓を好きと籾蒔く兄卒寿
一人子が子を二人連れ屠蘇の膳
点滴の夫のウインク水温む
百までは五年と母の種選び
母白寿杖は要らぬと夏帽子
児を生せる子に会う旅や金木犀
しずけさを汲み上げるかの水芭蕉
瑠璃色の風のかけらかしじみ蝶
滴りは分厚き森の息づかい
ふる里の捨て田は無言雁の列
風薫る鍬に顎乗せ畑談義 

 2021’9月 

 俳誌「阿夫利嶺」7月号にて、「鬼彦俳句の鑑賞」を紹介いただきました。

  本文は「道」11月号をどうぞ。
以下は 源鬼彦の俳句を現在の田湯岬主宰が鑑賞する本の頁から。

  猿払や破船に雪の平手打ち          源鬼彦(平成二十年作)

  猿払はオホーツク海に面する日本最北の村で、広大な原野が広がっている。冬の気象条件は激烈を極め、雪は空からではなく、横殴りに襲ってくるので「雪の平手打ち」は実感がある。
 この猿払沖で昭和十四年十二月ソ連の貨客船が遭難し、七百名の犠牲者を出した。この句の破船とはその当時のインディギルガ号のことか。
 終戦時樺太真岡郵便局の電話交換手九人が、街に侵入するソ連兵を見て集団自決すると言う悲しい事件があったが、猿払村は当時の樺太と結ぶ海底ケーブルの陸揚げ地でもあり、その記念碑が建っている。      田湯岬 

 2021’9月 

 俳誌「響焔」7月号にて 主宰の一句を鑑賞、紹介いただきました。

  残雪の沼斥候の数羽かな    田湯 岬

斥候(せっこう)とは、から始まる本文については 本誌10月号をご覧ください。 

 2021’8月 

 北海道新聞令和3年8月8日の「十七音の旅」櫂未知子さんのエッセイにて

  七夕にまつわるエッセイのなかでご紹介いただきました。

   大き背捜していたり星祭     大野 甲音 

本文については 本誌10月号をご覧ください。 

 2021’7月 

  俳誌「初蝶」7月号にて「道」四月号から二句を鑑賞、紹介いただきました。

 「道」四月号のなかから、利尻支部の金田一波 幹部同人 の二句を鑑賞、紹介いただきました。本文につきましては、「道」十月号をどうぞ。


 「初蝶」7月号にて
  雪を掻く朝夕二度の息づかい  金田 一波
  雪掻きて生きる証の力瘤                 〃 

 

2021’6月 

 各俳誌にて、「鬼彦俳句の鑑賞」紹介いただいております。「さがみね」と「くじら」にて。

  本文、鑑賞につきましては、「道」9月号をどうぞ。
以下、抄出いただきました 俳句は それぞれ以下。

 「さがみね」6月号にて
  初風や石鋭角な城の跡         源鬼彦
  魂乗せし雲もあるかに果ての盆
  墓石に拓の一字や遠郭公
  リラ香る素顔の巫女と撮られるに
  天界のしぶきの中を犬橇の鈴
  「道」と生く北天に鷹遊ばせて
  白地図の村の一点初鴉
  逆縁のことまた訥とおでん酒
  入植の祖父の鉈かも月の眉
  石狩の野をへだてなき初茜 
  白百合に戦火のにほひ乙女の碑
  春北風の先兵は槍利尻富士
 
「くじら」6月号にて
  雪焼の男いきなり歯で笑ふ  源鬼彦 

  カムイ坐す崖の真下の鰊群来

「道」と生く北天に鷹遊ばせて 
  庭石のほどよく濡れて朝桜
 一途さは時に哀しく蟻の貌
 源流を心音として眠る山
 道産子といへども今日は祭馬
 降る雪の中にも時の流れけり
 北天は久遠の青さ鳥渡る
 散骨はこの海峡と冬の凪

田湯主宰の鑑賞文も載せたいのですが また別な機会に。 

 

2021’6月 

  俳誌「沖」6月号、「ひいらぎ」6月号にて、主宰の句を鑑賞解説いただきました。

  本文、鑑賞につきましては、「道」9月号をどうぞ。
以下、抄出いただきました 俳句はそれぞれ一句。

 「沖」6月号にて
  春泥に点る明治の集治監  田湯 岬

 「ひいらぎ」6月号にて
  雪道をモーセの海の如く行く  田湯 岬

 

2021’6月 

  俳誌「鴻」6月号にて小橋厚子 句集「鳶のコンパス」を紹介いただきました。

  卒業の呼び名に教師魄こめて     小橋厚子 

  教室に春の日充ちてチョーク置き

  風車いつも本気で風に向く
  紋白蝶飛ぶ先生に光置き
  しずけさを汲み上げるかの水芭蕉
  雪原にたじろぎの無き獣道
  猫に道譲る除雪車空知晴
  満天の星と交信雪だるま
  点滴の夫のウインク水温む
 

本文、鑑賞につきましては、「道」9月号をどうぞ。 

 

2021’5月 

 俳誌「ぬかるみ」1・2月号にて 「道」十月号を紹介いただきました。

本文、鑑賞につきましては、「道」7月号をどうぞ。
以下、抄出いただきました 俳句の中から。

澄みゆくは無への一年水鏡 源鬼彦
夏草やここはかつての札沼線 田湯岬
星空へやがて浮遊の外寝かな 田湯岬
学園の花合歓に風まり子笑む 和泉すみ子

 

2021’4月 

俳誌「青岬」3月号と「初蝶」3月号にて 主宰の句を鑑賞いただきました。

「青岬」にて
女満別最終便は銀河へと          田湯岬
銀河越へ次の銀河へ師の旅は   田湯岬

「初蝶」にて
師と先師ともにこよなく濁酒   田湯岬

本文につきましては 本誌6月号に転載します。

 

2021’4月 

俳誌「鴫」2月号にて句集「鳶のコンパス」と「道」十一月号を鑑賞・ 紹介 いただきました。

小橋厚子句集 「鳶のコンパス」から
  鳶の輪の鳶のコンパス稲穂波 
  群の軸自在に折れる稲雀

  雪原にたじろぎの無き獣道
  泣きながら雲の飛びゆく大枯野
  空知野やどの道行けど大青田
  屯田碑写生の子等にちちろ跳ぶ
  淡雪を睫毛に乗せて転校生
  自販機の音鋭角に凍て行く夜
  カンバスに絵の具のしのし深緑
  猫に道譲る除雪車空知晴

「道」十一月号より
  囮とはついぞ知らずに鳴く囮     源鬼彦
  独唱の次にはじまる蝉しぐれ     田湯岬 
  師の後姿もうなき街晩夏            田湯岬
  苧殻火の尽くる闇とも離農跡    和泉すみ子
  海霧の村夜は星屑地にこぼし    北林由鬼雄
  トーチカのいまだ沖見る終戦日 髙松暮秋
  これ以上曝せば燃えむ戦災忌    すずき春雪
  秋の声いち速く聞く村の衆        西增正夫
  立秋やすとんと肩の力抜け        村井直子
  雑念を孕む愁思の蓄音機           小林道彦
  引き潮の速さに惑ふ蟹の爪       小倉和子
  にわたずみ雀水浴ぶ原爆忌       田中多恵子
  心太するりと夫に小さき嘘       瀧菊枝
  玫瑰や遠き番屋の潮錆びて       高尾美津子
  半分は津軽に預け朝の虹          川内谷弘美
  サングラス渡哲也になりたくて  千葉あきを
  病室の窓はキャンバス鰯雲       鈴木禮文

 


 

2021’3月 

俳誌「阿夫利嶺」1月号にて「道」の十月号の中から一句鑑賞いただきました。

帰省子を待つバス停の耕耘機     小野恣流

 

2021’3月 

 俳誌「かでる」89号にて句集「鳶のコンパス」を紹介いただきました。

小橋厚子句集 「鳶のコンパス」を北海道内の俳誌「かでる」89号でご紹介いただきました。 以下、掲句いただきました俳句。
  数の子を噛む音時計の刻む音
  注連飾吹かれるままに裏返り
  自販機の音鋭角に凍て行く夜
  下校児の自転車止まる焚火かな
  ダイヤモンドダスト我を追い抜くブーツ赤
  教室に春の日満ちてチョーク置く
  風車いつも本気で風に向く
  子の嫁ぐ夜の繰言冷し酒
  外つ国へ旅立つ娘天の川
  馬鈴薯の土を転がるもこもこと
  爽やかに若き教師の模範読み
  膝に乗る孫の重さや冬ぬくし
  寒晴や轍の角の蒼く透き
  笑うごと木の芽の開いて露天風呂
  船窓を滑る春雨草書体
  日を掬い日を拾いては毛糸編む
  野辺へ発つ師の絶唱や蟬時雨
  唐辛子を切れば日輪真っ二つ
  残り菜の七草粥や二人ぼち 
  遥かなる胸の埋火ボブデュラン
  満天の星と交信雪だるま
  百までは五年と母の種選び
  鳶の輪の鳶のコンパス稲穂波
  きっぱりと冬に入りたる今朝の空 

 

2021’3月 

俳誌「樺の芽」にて、鑑賞・紹介いただきました「道」の作品を集めました。

 北海道内の俳誌「樺の芽」にて 令和2年8月~3年2月号で 鑑賞・紹介いただきました 「道」の俳句作品を 紹介いたします。
  令和3年2月 
逢いに行く落葉に尾行されながら     三浦恵子(道)
  令和3年1月
げじげじと邪険にすまい益虫ぞ         吉尾広子(道)
  令和2年12月
抗戦のごとどくだみの兵の列             小林時子(道)
  令和2年11月
つかの間の入り日あつめて浮氷     すずき春雪(道)
  令和2年9月
たうたうと愚痴る妹ゐてうらら         中森千尋(道)
  令和2年8月
鳥影のナイフめく朝春障子                   源鬼彦(道)
冬の蚊の身じろぎもせぬ厩かな            源鬼彦(道)
極月の病室に浮く塵ひとつ                   源鬼彦(道)

 2021’1月

令和二年「道」俳句作家賞に小橋厚子氏

  おめでとうございます。詳しくは本誌一月号にて 以下に対象作品

「鳶のコンパス」より

 小橋厚子

  鳶の輪の鳶のコンパス稲穂波

  空知野やどの道行けど大青田
  除雪機の邑のそこそこ狼煙めく
  あぜ道に蛍火ふいと通夜帰り
  稲刈りの父に手を振る下校の子
  鳥たちの道の駅かやななかまど
  猫に道譲る除雪車空知晴
  新しきビニールハウス雪解光

  灰汁強き北国の独活吾は吾
  野辺へ発つ師の絶唱や蟬時雨
  教室に春の日充ちてチョーク置く
  球児等の廃品回収空高し
  鳥帰るポストに子へのエアメール
  外つ国へ旅立つ娘天の川
  時差語る受話器の軽ろさ良夜かな
  百姓を好きと籾蒔く兄卒寿
  母白寿杖は要らぬと夏帽子
  療養の夫待つ書斎神無月
  しろがねの波色零す初鰊
  玻璃色の風のかけらかしじみ蝶
  参上と高鳴きをする初蛙
  滴りは分厚き森の息づかい
  沸沸と滾る日の香やトマト煮る

 2021’1月

第十七回 北光星賞に北林由鬼雄 氏

  おめでとうございます。詳しくは本誌一月号にて 以下に俳句

花辛夷 

北林由鬼雄

  離農地の夕日輝やき山葡萄
  健やかな朝のはじまり根深汁
  松明けて二人に戻る静かな夜
  節分の屋根から鳩が五羽十羽
  春の月つつけば弾み落ちそうな
  囀りや心豊かになる湖畔
  雲ひとつ無き空めざす花辛夷
  のびやかな牛の高鳴き青山河

 2021’1月 

俳誌「初蝶」12月号にて句集「鳶のコンパス」を紹介いただきました。

小橋厚子句集「鳶のコンパス」を俳誌の「初蝶」12月号でご紹介いただきました。
以下、掲句いただきました俳句。
 鳶の輪の鳶のコンパス稲穂波
 野辺へ発つ師の絶唱や蟬時雨
 教え子が教頭になる春一番
 しろがねの波色零す初鰊
 すずけさを汲み上げるかの水芭蕉

 2020’12月 

各俳誌「松の花」、「鴫」、「雲取」にて句集「赤蜻蛉」を紹介いただきました。

庭田一美句集「赤蜻蛉」を各俳誌にてご紹介いただきました。
以下、掲句いただきました俳句。
 「松の花」にて
  乾鮭のなほも沖見る眼裔かな
  野獣めくビルの骨格秋暑し
  水羊羹しあわせさうな母の愚痴
  「鴫」にて
  母子像へまた寄り道の赤蜻蛉
  マラソンの先頭を切る赤蜻蛉
  鬼哭ともつかぬ風音浜焚火
  亡き子へのネクタイ選ぶ聖夜かな
  夜咄や逢いたき人は影法師
  透明な嘘と知りつつ氷柱折る
  葉牡丹をサラダにしたき金曜日
  風花は無沙汰を詫ぶる便りとか
  「雲取」にて
  麦秋の空知は風の自由席
  寒波来る水平線に或る歪み
  凍鶴と逢ふそれだけの夜行バス
  母子像へまた寄り道の赤蜻蛉
  雪霏々と遺書めく考の回顧録
  虫時雨吾子の遺せし英語辞書
  先づ母へ声の寄せ書き初電話
  帰省子へ夫の海鮮カレーかな

 2020’11月 

俳誌「初蝶」10月号にて主宰の句を鑑賞・解説いただきました。

窓越しに猫が見てゐる涅槃雪 田湯岬

旧暦二月十五日、涅槃会にふる雪を言う。で始まる本文は本誌1月号をご覧ください。

 2020’10月 

俳誌「新月」10月号にて句集「鳶のコンパス」を紹介いただきました。

小橋厚子句集 「鳶のコンパス」を俳誌の「新月」10月号でご紹介いただきました。
以下、掲句いただきました俳句。
 鳶の輪の鳶のコンパス稲穂波
 空知野のどの道行けど大青田
 除雪機の邑のそこそこ狼煙めく
 黄葉降るこの山家にも郵便車
 野辺へ発つ師の絶唱や蟬時雨
 淡雪を睫毛に乗せて転校生
 外つ国へ旅立つ娘天の川
母白寿杖は要らぬと夏帽子
滴りは分厚き森の息づかい
沸々と滾る日の香やトマト煮る

 2020’9月 

俳誌「ぬかるみ」、俳誌「獺祭」にて、「道」誌をご紹介いただきました。

本文、鑑賞につきましては、「道」12月号をどうぞ。
以下、抄出いただきました 俳句。
四月号より
吹雪く野のバスは我のみ拾い発つ 源鬼彦
通院の風花刺さる頬の先 源鬼彦
滝凍るその音さへも凍らせて 源鬼彦
六月号より
今日も又春寒といふ蝦夷大気 源鬼彦
雪を割る鶴嘴の影きらめかせ 源鬼彦
札幌も人影まばら春ショール 源鬼彦

 2020’8月 

 俳誌「歯車」394号にて中村耕人顧問の俳句と、 北光星先生の俳句が紹介されていました。

 尻すぼみな暮し百枚の冬田を超え 中村耕人
 修道院雪とちかしく夕焼け越す     中村耕人
 太陽のもてなし篤き孤島に雪         中村耕人
 藁塚のふくらみ雪の愛はてず         中村耕人
 冬日は燠のかたわれ犬ひた走り     中村耕人

 杭を打つ裸ぎらりと裏返し             北光星
 板の夕焼け削れば削るほど濃し      北光星
 氷まづ削られ板が削らるる             北光星
 夜ごと男の声なす石狩川雪解         北光星
 父の年輪持つ切株に鷹かえる         北光星

 2020’8月 

  俳誌「ぶどうの木」、「若竹」にて句集「オホーツクの四季」を紹介いただきました 。 

渡部彩風句集「オホーツクの四季」を俳誌の「ぶどうの木」6月号、「若竹」7月号にてご紹介いただきました。

「ぶどうの木」にて

 炎天の走者ざんぶと水被る
 入植の芽吹きの里や捨てサイロ
 健やかな白寿の母に新酒かな
 遥なる斜里の秀峰薯の花
 身の丈の氷柱かかへて下校の子
 ファッションは 先づ帽子から冬用意

「若竹」にて

 薯の花うねりの果はオホーツク
 オホーツクの波砕け散る冬港
 白鳥引く空にV字のきはやかに
 人声も鳥語も透けて青すだれ
 灯台を空に残して月朧
 ゆさゆさと背を七色に大毛虫
 枯木立浮く満天の星の中

 2020’8月 

 俳誌「紺」にて句集 「赤蜻蛉」と句集「鳶のコンパス」を紹介いただきました。

俳誌「紺」七月号にて、庭田一美句集「赤蜻蛉」と小橋厚子句集「鳶のコンパス」をご紹介いただきました。
 

庭田一美句集「赤蜻蛉」より
  母子像へまた寄り道の赤蜻蛉  庭田一美


小橋厚子句集「鳶のコンパス」より 

  鳶の輪の鳶のコンパス稲穂波 小橋厚子

 2020’7月 

 各俳誌にて 句集「鳶のコンパス」をご紹介いただいております

  小橋厚子句集 「鳶のコンパス」を俳誌の「さがみね」6月号、「くじら」6月号、「顔」6月号 等でご紹介いただいております。
以下、「さがみね」6月号に掲句いただきました。
  しろがねの波色零す初鰊 
  牧舎守る犬の流し目風薫る 
  膝に乗る孫の重さや冬ぬくし
  海側の軒低くして干鰈
  牛飼いと牛の語らう朝霞
  海へ出る川の咽びや原爆忌
  あの人も寡婦となりしや雪卸
  雪解靄牧舎のあたり影うごく
  向日葵の笑顔の中に好きなひと
  鳶の笛豪雪の田の天心に
  俺という言葉覚えて葱坊主
  母白寿杖は要らぬと夏帽子
  鳶の輪の鳶のコンパス稲穂波
  歳晩や口をへの字の配達夫 

 2020’6月 

俳誌「かびれ」にて 句集「赤蜻蛉」をご紹介いただきました。

  庭田一美句集 「赤蜻蛉」を俳誌「かびれ」6月号で ご紹介いただきました。以下 紹介いただきました俳句
  母子像へまた寄り道の赤蜻蛉
  水羊羹しあわせさうな母の愚痴
  友癒えよ昨日もけふも野菊晴
  母の忌やほどよく撓ふ干大根
本文については本誌8月号をお待ちください。 

 2020’6月 

 北海道新聞令和2年6月9日の「道内文学―俳句」五十嵐秀彦さんのコラム

  源鬼彦さん死去 - 風土の詩まっすぐに と題し 源鬼彦主宰の俳句、作句姿勢、人柄、北海道の俳句活動における活躍を紹介されました。本文につきましては本誌8月号の予定です。以下俳句。
  手術後の日日は新たと日記買ふ 源鬼彦 (道5月号)
  炎天へ光の音を生むポプラ  源鬼彦 (句集・土着)
  鮭遡上六尺ほどの川幅を 源鬼彦 (句集・土着)
  サロベツや地吹雪はみな海原へ  源鬼彦 (句集・土着)
  屯田の祖父母の李いまもなほ  源鬼彦 (句集・土着)
  開墾の血の色ならむななかまど  源鬼彦  (句集・土着)  
  望郷のその真ん中を鳥雲に   源鬼彦 (句集・土着)
  入植の御霊ともども盆休  源鬼彦 (句集・土着)
  深雪野へ土着の男大股で  源鬼彦 (句集・土着)
  石狩のここが在所と寒鴉 源鬼彦 (句集・土着)
  海流はかの樺太へ終戦忌  源鬼彦 (句集・土着)
  航跡の一筋青き流氷原 源鬼彦(道5月号) 

 2020’6月 

北海道新聞令和2年5月24日の「十七音の旅」櫂未知子さんのエッセイにて

  句集「鳶のコンパス」の中から鑑賞頂きました句
   生えそろう前歯に苺大きすぎ  小橋厚子 
本文については 本誌8月号をお待ちください。 

2020’6月 

吟行会と小橋厚子句集出版記念祝賀会中止の知らせ

新型コロナウィルスの感染が広がり、皆さまには不安な日々をお過ごしのことと存じます。
  こうした状況の中で、6月27日に予定していた吟行会と句集出版記念祝賀会については、中止せざるを得ないと判断させて頂きました。
 既に出席する旨の申込をされた方には誠に恐縮ですがどうかご理解賜りますようお願い申し上げます。 

2020’6月

ホームページを開設しました。 

皆様への感謝の気持ちをより素早くお届けいたいと思います。